A short story of mari belle

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種子は小さく風によって運ばれる


船上ベル   アストロラーベ   携帯用地球儀




わたしたちは 旅に出る

 


彼の地へ     植物と星の観察に






 

 

 
北天図と南天図    勇ましく美しい 蛇や馬
 



夜の間は 星と鳥を 観察しながら 


 

どんどん 櫂を 漕いで  何ヤードも 進むのだ



 




 
 
いま、 わたしの こころは 

 


青白く冷えて 輝いている
 



天球図の星のように 
 
 

静かに   夜に幕をあける  きぼう











 
種子は小さく風によって運ばれる





 
彼の地へ



 



 



 
short story - -
くだき



せかいが  どうやって できたか  おしえてあげる







いとがあって




 



あっちから 






ずーーーーーーーっと     ずーーーーーーーーっと





じめんがあってね、






うみに せんを ひいたの






そこには  「くだき」が あって





……







あれ、なに はなしてたっけ?  わすれちゃった… 







ああ、あのね、






うちゅうが  どうやって できたか  おしえてあげる








short story - -
けむり



わたあめの ひとはしが  

水色の そらの うえを  のぼっていった





けむりのように


くものように







そらのうえでは  巨人の国があり  

巨人どもが わたあめを喰べているらしい





ちっぽけな にんげんども  指でつまんで ちぎってしまうぞ



ちいさな男の子  口のまわりを  飴色にそめながら 

嬉しそうに 叫ぶ








わたあめの ひとはしが  そらの うえを のぼっていった







けむりのように




くものように










たましいのように

















 



 
short story - -
そうなっているんだ


 

雨は  雨の好きなだけ  雨、 ふってから







風は  風の気の済むまで  風、 ふいてから




さかなは   さかなであることが  うれしく かなしく  飛び跳ねてから








 
それから   また  しずかな   よい気持ちになっていくんだ
 

 





夏の終わり   夜に 飛ぶ鳥は     きっと  蝙蝠です

 










 
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よぞらぼし



そのこの なまえは よぞらぼし





まだ さわったことがない







たまごの 殻から うまれたのか  







あまい お乳のにおいがするのか






やわらかいのか   うぶげはあるのか













よぞらぼし  さわってみたいな   






よぞらぼし  どんな聲
なの?

          



そうだ   わたしが   ほしにもどって 


 



わたしが  わたしを  さわればいいんだ









 
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しらんぷりカラス




げんかんを あけたところに



春くらいから




つやつやのくろいカラスが巣をつくりたそうにしてる





わたしが みても しらんぷりカラス





めがあっても  しらんぷりカラス













げんかんを あけたところに



夏になっても




つやつやのくろいカラスが巣をつくりたそうにしてる





わたしが みても しらんぷりカラス





めがあっても  しらんぷりカラス










しらんぷりカラス   めがあっても




しらんぷりカラス   秋になっても?






しらんぷりカラス   冬がきても?






しらんぷりカラス   しらんぷりカラス






しらんぷりカラス   
しらんぷりカラス







  









 
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はんたいりんご


いつから 変わったのかな





いつ変わったのかな




音が聞こえた? 







わたしのなかの 細胞? か  何か?  の   切り替わる音














はんたい はんたい  はんたいりんご





はんたい はんたい  はんたいりんご





こわくなかったことが  こわくなり






こわかったことが    こわくなくなる














はんたい はんたい  はんたいりんご






はんたい はんたい  はんたいりんご






こわかったことが    こわくなくなり







こわくなかったことが  こわくなる










 
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かれらの独白 わたしのひとりごと

誰がわたしを お化けみたいに おおきいと 言ったのか

( 赤と白の 椿の樹の 独白 )





四月二十八日   いつもの野原で 



狐につままれた



ふうわりと 
  



思いがけず  たぶんに 妖精と 遊んでしまった


(わたしのひとりごと)











 
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部屋


301号室   グランドピアノ ドラム ボンゴ  打ち捨てられた ガットギター

401号室  アップライトピアノ  小さな置き時計 譜面台

402号室  セロ  古い机 アップライトピアノ 

403号室  アップライトピアノ 小さな置き時計 譜面台

501号室  アップライトピアノ アップライトピアノ  譜面台  譜面台

601号室  アップライトピアノ 譜面台  小さな置き時計

602号室  アップライトピアノ 譜面台 
 




部屋と こころのなかで はなしをした。


ひとつ ひとつの 部屋に お別れの挨拶を した。





            ありがとう  元気でね  



さいごはぴょこんとした おじぎ。








半世紀の間

部屋しか 知らないことが いっぱいあった

うたを唄うおなかのなか、鍵盤をたたく おなかのなか、
あかちゃんに へんかする たまごたちが 
甘い羊水をうっとりと夢みていることも


あのこが   へやと しずかに   はなしをしたことも




 


 



 
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月の傘

   
    大きなヨルの ゆりかごで 








 

       しんしんと
眠る あのこの かたちを 










     またたきもせず  聴いている










 
      
 

    


 
       凛と冷たい外気  あのこの かたちを  楽にする



 


    もう  ずっと ずっと此所は  冬の国のまま







   月の傘の下   
そんなへんなことを  願っている
 
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